前に別のメンバーがちょこっと書いてますが、応援歌の翻訳や100周年祭で様々なニックネームが出てきましたので、改めて自分でもまとめてみました。
サン・ロレンソ100年の歴史の中から生まれた愛称は、付けられた時のチーム一代限りのものから、後のチームにも引き継がれてクラブのニックネームとして定着したものまで、いろいろあります。
現在の使用頻度や定着度を、S=クラブ名に匹敵、A=そこそこ使う、B=たまに見聞きする、C=ほとんど使わない、として記載しました。
〇AZULGRANA(アスルグラーナ):S
・意 味:青赤
・命名時期:クラブ創立初期
クラブのカラーです。
「青赤」としましたが、"AZUL"には「紺」も含まれ、"GRANA"は"GRANATE"のことで正確には「えんじ」、漢字では「臙脂」と書くらしいです。
ユニフォームでは青と普通の赤が組み合わされることも多いですし、ニックネーム以外の使用では「青と赤」で"AZUL Y ROJO"と言うこともあります。
教会(後述する"LOS SANTOS"参照)のマリア像が羽織っていたマントの色とされていますが、クラブのオフィシャルサイトによると、青は「理想」、赤は「戦い」を表しているそうです。
〇EL CICLON(エル・シクロン):S
・意 味:サイクロン
・命名時期:1932年
アルゼンチンでプロのリーグが始まったのが1931年。
サン・ロレンソのプロ化後初優勝はその2年後の1933年ですが、初年度はボカ、2年目はリーベルと最後まで優勝を争いました。
この時期に圧倒的な攻撃力で勝利を重ねるサン・ロレンソを見て、ジャーナリストのウーゴ・マリーニが「エル・シクロン」と命名したのが始まりです。
サン・ロレンソのライバルがウラカン(ハリケーン)なのを意識して付けられたのは言うまでもありませんが、このネーミングは他のジャーナリスト・記者にも共感され、瞬く間に広まりました。
〇LOS CUERVOS(ロス・クエルボス):S
・意 味:カラス
・命名時期:クラブ創立初期
神父さんの黒い服装から想起されたものです。
「エル・シクロン」が主にクラブを示す愛称であるのに対し、こちらはサポーターを主体にしたニックネームと言えます。
〇LOS MATADORES(ロス・マタドーレス):S
・意 味:マタドール
・命名時期:1968年
1968年のメトロポリターノをアルゼンチンサッカー史上初の無敗で優勝したチームに付けられた愛称です。
応援歌にも多用され、現在でもサン・ロレンソ=マタドールとして認識されています。
〇LOS GAUCHOS(ロス・ガウチョス):A
・意 味:ガウチョ
・命名時期:1932年
プロ化を契機に、有力なクラブは全国から優秀な選手を集めるようになりました。
サン・ロレンソは、サンタ・フェ州からアルベルト・チビディーニ、ガブリエル・マガーン、ヘナーロ・カンテーリの3選手を獲得。
彼らの出身地から、「ロス・ガウチョス」のニックネームが付きました。
今でも「俺たちがボエードのガウチョ、俺たちがカンペオン・・・」という応援歌を毎試合歌います。
〇LOS SANTOS(ロス・サントス):A
・意 味:聖人
・命名時期:クラブ創立初期
クラブ名が「聖ロレンソ」ですからそのままです。
カトリック・サレジオ会のロレンソ・マーサ神父のおかげで今のサン・ロレンソがあるわけですが、クラブに宗教色はなく、サポーターにはユダヤ系や中東系、私のような無宗教の人間もいます。
〇LOS CARASUCIAS(ロス・カーラスーシアス):B
・意 味:汚ない顔した奴
・命名時期:1963年
この年、ナルシーソ・ドバール、フェルナンド・アレアーン、エクトル・ベイラ、ビクトリオ・カーサ、ロベルト・テルチの5人の下部組織の選手たちが若くしてトップに昇格、それぞれ活躍しました。
この時のチーム、もっと限定すればこの5人衆に付けられた愛称が「ロス・カーラスーシアス」です。
直訳して「汚ない顔した奴」としましたが、顔を洗う習慣がまだ身に付いていない子供のことで、「小僧」程度の意味になると思います。
クラブのニックネームにまで昇華することはなく、今では彼らのことか、サン・ロレンソの下部組織上がりの若手を「カーラスーシア」と表現するくらいでしょう。
それでもブエノス北部のカラスたちが、5人とそのチームへのオマージュから"LOS CARASUCIAS ZONA NORTE"の横断幕を出していますので、まだ目にする機会はあります。
〇LOS CAMBOYANOS(ロス・カンボジャーノス):C
・意 味:カンボジア人
・命名時期:1986年
70年代末から始まったクラブの経営危機。
自身のカンチャを失い、まともな練習場もなくシャワーといえば水、契約さえもきちんと履行されない。
当時の選手たちは過酷な環境下にありました。
これは、1986年に所属していたウルグアイ人選手ルイス・マルバーレスが、「俺たちは孤立無援でカンボジア人みたいだ」と言ったことから付いたニックネームです。
この時期しばらく使用されたようですが、最早使う人は誰もいません。
昔を懐かしむ話でもなければ。
〇LOS SANLORENCISTAS(ロス・サンロレンシスタス):C(A)
・意 味:サン・ロレンソファン
・命名時期:クラブ創立初期
ユヴェンティーノやインテリスタ、ミラニスタみたいなものですが、アルゼンチンではかしこまった言い方になるので、日常の会話の中でこのタイプはほとんど使いません。(イタリアではどうなのか私は知りません)
ペーニャなどの団体や博物館等の名称に付けられたり、クラブ会長のお堅い演説や新聞等のメディアで登場するのみで、「俺はサンロレンシスタ」とか、そういう使い方はないです。
他のクラブでも同様で、「ボケンセ」なぞ反対語の「リーベルプラテンセ」並に普段言わないんですが、なぜか日本では。。。
まぁいいか、あっちの人のことは。
サン・ロレンソのオフィシャルサイトやファンサイト、ウィキペディアなどを参考に書きました。
ニックネームとして存在している(いた)のは確かですが、由来の信憑性は?です。