2010年7月10日土曜日

パスと契約と二人のトーレス

EU域内においては、 契約満了後に元所属クラブが移籍先クラブに移籍金の支払いを要求できるような制度がないため、契約が満了した選手は完全にフリーな立場となる。


他方、南米などでは依然としていわゆる"保有権(パス)制度"が生きているため、契約が満了しても選手は自由に移籍できるとは限らない。(ウィキペディア:移籍金 ボスマン判決)

という、「パスと契約は別物」を踏まえて・・・

フアン・マヌエル・トーレスという選手。
ラシンの下部組織に入ってそこでプロ契約、100%ラ・アカデミア保有に。
そして17歳の02前期、トップデビュー。
アベジャネーダでは順調にキャリアを積み重ね100試合以上に出場。
しかし、06前期を以って終了した契約の更改交渉で決裂。
アスルグラーナが優勝した07後期、ブランキセレステがパスを持ったまま、彼はどこにも移籍できず、プレイできず。
半年後、"救世主"現る。
投資家が全パーセンテージを買い取り、07前期ボエードへ。

アウレリアーノ・トーレスという選手。
サン・ロレンソへはほぼ毎年の移籍で複数のクラブを渡り歩いたすえ到着、エル・シクロン50%買取で。
そして加入直後の07後期、多からず優勝に貢献。
ボエードではほとんど活躍することもなくクエルボスの心を掴めないままズルズルと3年半が経過。
しかし、パラグアイ代表には選出されW杯出場。
アルビロハがサムライブルーをPK戦で破って準々決勝進出を決めた翌日、アスルグラーナとの契約終了。
敗退後、故郷で休養に入る。
「自分はもう自由に移籍ができる」とし、10/11シーズンは欧州へ、を画策中。

昨日からさらなる問題を抱え込むことになりました。
クラブとしても売りたかったし、出て行くのは一向に構いません。
ですが、パス売却で200万ユーロ程期待していたので、タダでは困る。
チャコはそれに縛られた、グアラニーは縛られないのか?
契約期限が来たとはいえ、「年俸20%アップで自動延長」というオプションも付いているんですが。。。

昨年7月1日、アルゼンチンサッカー選手組合(FAA)とアルゼンチンサッカー協会(AFA)が新たな労働協約を締結しました。
その第6条に、「22歳以上の選手には契約に"延長オプション"を付けてはならない、万一付いていた場合は無効となり、AFAは選手に対して契約に拘束されないことを保証しなければならない」といったようなことが書いてあるそうです。

アウレリアーノは先月誕生日を迎えて現在28歳。
確かに年齢的には当てはまります。
FAAはこれを盾に選手を支持、「パスはもうA.トーレス本人のもの」と主張しているとも。
しかしAFAは今日CASLA支持を表明。
根拠は、契約がその協約が存在する以前に結ばれたものだから。

場合によっては法廷闘争もありえます。
ただよく解らないのは、延長オプションが無効だったとして、どうしてパスまで失ってしまうことになるのか?
今週火曜日の投稿を書いた時にも引っ掛かってはいましたが、実際、そのようなケースは多いらしく。

パスは人身売買的な感じもあり、遅かれ早かれなくなってしまうものかもしれません。
でも今は・・・お金がないんでもうちょっと待って!